このページでは、睡眠障害全般について解説いたします。
不眠症をはじめとして、ナルコレプシーに代表される過眠症、概日リズム障害、睡眠時随伴症などのしくみや原因はどうなっているのか?
などの疑問にお応えできれば幸いです。
睡眠障害とは?
厚生労働省が運営する「みんなのメンタルヘルス総合サイト(以下、「みんなのメンタルヘルス」)」によると、睡眠障害を「様々な病気の総称」と位置付けており、睡眠に何らかの問題がある状態であるとされています。
また、健康のために睡眠はとても重要であり、心身の疲労回復、記憶の定着、免疫機能の強化などの役割を持っていることも以下のように述べています。
健康のために睡眠はたいへん重要です。
睡眠は、心身の疲労回復をもたらすとともに、記憶を定着させる、免疫機能を強化するといった役割ももっています。
健やかな睡眠を保つことは、活力ある日常生活につながります。
睡眠障害が問題とされる理由
睡眠不足のリスクについては、当サイトでも「人は寝ないとどうなるの?睡眠不足のリスクとは?その重要性は?」でお伝えしましたが、「みんなのメンタルヘルス」では、睡眠障害が問題となる理由を以下のように述べています。
睡眠障害があると、何が問題になってくるのでしょうか?
ひとつには、睡眠障害によって、日常生活や社会生活に支障が出てくることがあります。
睡眠障害によって日中の眠気やだるさ、集中力低下などが引き起こされると、日々の生活に支障をきたし、極端な場合には事故につながることもあります。
また、睡眠不足や睡眠障害が長期間持続すると、生活習慣病やうつ病などになりやすくなることがあります。
こうしたことから、睡眠障害に適切に対処することが重要と考えられています。
これらのことから、睡眠障害を発症してしまうと、健康的な生活やハッピーな人生を送るための妨げになることがわかりますね><
そのため、普段の生活の中で自分の睡眠状態や、睡眠の問題を把握しておくことは、健康的な毎日を送るためにはとても重要なことなのです。
睡眠障害の種類と症状
睡眠障害というと、代表的なものでは「不眠症」や「過眠症」が挙げられますが、他にはどのような症状があるのでしょう??
国際的に認められている「睡眠障害国際分類(ICSD)」によると、医学的な睡眠障害は以下の8つのカテゴリに大別されています。
1)不眠
2)睡眠時呼吸障害
3)中枢性の過眠症(概日リズム障害、睡眠呼吸障害、夜間熟眠困難の他の原因を除く)
4)概日(がいじつ)リズム障害
5)睡眠時随伴症(すいみんじずいはんしょう)
6)睡眠時運動障害
7)独立した症候群、一見すると正常のようにも見えるが解決できない問題を含んでいる
8)その他の睡眠障害
また、当サイトの参考資料として活用させていただいている書籍の一つ「睡眠障害の謎を解く:櫻井 武(講談社)」では、睡眠障害のメカニズムをわかりやすくするために以下の4つに分類しています。
- 不眠症
- 過眠症
- 概日リズム障害
- 睡眠時随伴症
なお、当サイトでも同書籍に習い、睡眠障害をこれら4つに分類しながら、そのメカニズムを解説していきたいと思います。
不眠症のしくみ
継続的に夜眠れない症状。(入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠障害など)
一言で「不眠症」とは言っても、不眠症に見られる症状は様々で「眠れない」ことだけが不眠症だとは限りません。
この項目では不眠症に見られる症状やメカニズムについてお話しします。
■不眠症とは?
「日本人の5人に1人が何らかの原因によって不眠に悩んでいる」と言われています。しかし、「不眠症」というのは実際にはどのような症状を指すのでしょうか?
■不眠症のタイプ
一言で「不眠症」とは言っても様々なタイプの不眠症があります。どのようなタイプがあるのでしょう?
不眠症に陥る人の多くがストレスが原因です。このページではストレスが原因で不眠症に陥る人のタイプを3つにわけて解説します。
不眠症とうつ病は密接な関係があり、どちらも「双方向」の関係で引き起こされやすい病気です。このページでは不眠症と関連が強いココロの病気の3つのタイプについて解説します。
睡眠衛生や今現在患っている病気によっても、不眠症の原因になることがあります。このページでは上記のタイプには当てはまらない不眠症の3つのタイプについて解説します。
■不眠症の原因
不眠症は睡眠障害の中でも特に悩んでいる人が多い睡眠障害です。不眠症のしくみを理解するためには「覚醒のしくみ」と「睡眠のしくみ」の両方から見ていく必要があります。
医学的に見て不眠症が引き起こされる原因としては脳内にある「覚醒のしくみ」が頑張りすぎてしまうことにあります。
■むずむず脚症候群
別名「レストレスレッグス症候群」とも呼ばれており、実は近年ひそかに増えてきている不眠症の症状の中に「むずむず脚症候群(RLS)」というものがあります。これはどのような病気なのでしょう??
むずむず脚症候群に関連した睡眠障害で「周期性四股運動障害(しゅうきせい しし うんどうしょうがい)」という病気があります。この病気はどのような症状を引き起こすのでしょう?
不眠症の治療内容
不眠症の治療は普段の睡眠衛生を改善させるための「認知行動療法」と、薬による「薬物療法」が中心となって行われます。
また、他にも体内時計のリズムを整えるために「光療法」などがありますが、不眠症を克服するためには治療だけでなく、生活習慣の改善も重要です。
例えば、夕方以降はコーヒーやお茶などのカフェインが含まれるものを摂らない、あまり熱いお風呂に入らない、部屋の温度や明るさを適切なものにするなどです。
ですが、精神疾患も含め、他の病気が原因で不眠症になっている場合には、その病気の治療も必要になります。
そのため、他の病気が原因で不眠症になっていると疑われる場合には、それに応じた様々な検査や治療が必要となることもあるようです。
なお、この項目では実際に医者にかかったときに行われるヒアリング内容や検査内容、治療方法について、一般に知られるものをご紹介していきます。
お医者さんで不眠症の治療をしてもらう場合には、主に「認知行動療法」と「薬物療法」を中心に行われます。しかし、どんな病気の場合にも治療が行われる前には必ずヒアリングや治療前の検査が行われます。
睡眠に対するものの見方や考え方を変えて「眠るスキル」を鍛えるための心理的な方法を使った不眠症の治療法を「認知行動療法」と呼びます。この治療法はどのような方法で不眠症を治していくのでしょうか?
不眠症を薬で治療する場合には、睡眠に関わる脳内の様々な物質をコントロールすることによって不眠の症状を改善していきますが、怖いのが薬の服用に伴う副作用です。
次世代の睡眠導入薬として期待されている睡眠導入薬で「オレキシン受容体拮抗薬」という薬があります。この薬にはどのような作用が期待されているのでしょうか?そもそも「オレキシン」とはどういう脳内物質なのでしょう?
過眠症のしくみ
日中に仕事などの作業に支障をきたすような眠気を感じる症状。(ナルコレプシーなど)
「過眠症」と言うと、「ナルコレプシー(発作的に寝てしまう症状)」が知られていますが、過眠症で見られる症状は様々です。
この項目では過眠症に見られる症状やメカニズムについてお話しします。
■過眠症とは?
普段、夜にとっている睡眠時間が7~8時間と時間的には十分寝ているはずなのに、日中は常に強烈な睡魔に襲われている症状が続く場合、「過眠症」である可能性があります。このページでは過眠症に見られる4つの特徴について解説します。
■ナルコレプシー
「ナルコレプシー」は過眠症の代表格でもあるため、一度は聞いたことがあるとは思います。しかし、ナルコレプシーという病気は実は近年までは「原因不明の謎の睡眠障害」でもありました。
一言で「ナルコレプシー」とは言っても、実は様々な症状があります。このページではナルコレプシーに見られる代表的な4つの症状について詳しく解説していきます。
■睡眠時無呼吸症候群(SAS)
睡眠中に呼吸が止まって「無呼吸」状態になったり睡眠中の1回分の呼吸量が減って「低呼吸」状態になったりして、睡眠が障害される病気のことを「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」と呼びます。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は大きく分けると「閉塞型」と「中枢型」があります。このページではこれらに見られる症状の違いについて詳しく解説していきます。
■うつ病関連の過眠症
このページでは「うつ病に伴う過眠症」と「特発性過眠症」についてお話しします。また、その他にも過眠症とまではいかないけれど、普段の生活の中で起こる「眠気」についてもいくつかご紹介しますね^^
概日リズム障害のしくみ
睡眠と覚醒のリズムが乱れる症状。(望ましい時間よりもかなり遅れて眠り、朝起きられないなど)
一言で「概日リズム障害」とは言っても、見られる症状は様々で「生活リズムが崩れる」ことだけが概日リズム障害だとは限りません。
この項目では概日リズム障害に見られる症状やメカニズムについてお話しします。
■概日リズム障害とは?
体内時計があるオカゲでほとんどの人が夜に眠って、日中に活動ができていると思います。しかし、この体内時計が狂って睡眠や覚醒に問題が起こることを「概日リズム障害」と呼びます。
■概日リズム障害のタイプ
毎日の就寝時間が早い時間帯に固定化されていて、極端な早寝早起きが1週間以上続く概日リズム障害のことを「睡眠相前進症候群」と呼びます。
毎日の就寝時間が遅い時間帯で持続して固定化されてしまう概日リズム障害のことを「睡眠相後退症候群」と呼びます。
環境要因によって体内時計が狂ってしまい、毎日の就寝時間が少しずつズレていく概日リズム障害のことを「非24時間睡眠覚醒症候群」と呼びます。
■時差障害
時差ボケは時差の大きい場所へ海外旅行をした際に引き起こされる概日リズム障害の一つですが、医学的には「時差障害」と呼ばれています。
シフトワーカーは実は常に「時差ボケ」状態だった?そのメカニズムは?シフトワークによる概日リズム障害とはどんな症状なのでしょう?
睡眠時随伴症のしくみ
睡眠時に異常な行動を伴う症状。(夢遊病や夜驚症、夜間摂食障害など)
「睡眠時随伴症」という睡眠障害があるのですが、あまり聞き慣れない言葉なので知らない人の方が多いかもしれません。
ですが、実は私たちのごく身近にある睡眠障害の一つでもあります。
この項目では睡眠時随伴症に見られる症状やメカニズムについてお話しします。
■睡眠時随伴症とは?
あなたは「睡眠時随伴症」という病気を聞いたことがありますか?あまり聞き慣れない言葉なので、おそらくはほとんどの人が初めて知る病気ではないかと思います。
■夢中遊行症
「睡眠時随伴症」にはノンレム睡眠中に起こるものとレム睡眠中に起こるものがあり、両者のメカニズムは異なるものです。このページでは「夢中遊行症」を中心にノンレム睡眠中の睡眠時随伴症について、そのしくみを詳しく解説していきます。
■レム睡眠行動障害
本人はグッスリ眠っているはずなのに、夢の中の内容を実際に行動に出してしまう症状をレム睡眠行動障害と呼びます。そのメカニズムはどうなっているのでしょう?
睡眠障害対処12の指針
以下は厚生労働省の委託により、睡眠の専門家が作った「睡眠衛生」を改善するための12の指針です。
少し古いものですが、現在でも十分に活かすことができます。
1)睡眠時間はひとそれぞれ、日中の眠気で困らなければ十分
睡眠はとても個性的なものです。
睡眠時間は他の人と比べるのではなく、自分に合った睡眠時間を見つけましょう。
2)刺激物を避け、眠る前には自分なりのリラックス法
カフェインを摂ったりタバコを吸ったりすると眠気が減るので、カフェインは眠る4時間前まで、タバコは1時間前までにしておきましょう。
3)眠たくなってから床に就く、起床時刻にこだわりすぎない
眠ろうと意気込むと、逆に眠れなくなることがあります。
そんなときは一度布団から出て、ふたたび眠くなるまで待ちましょう。
4)眠りが浅いときは、むしろ積極的に「遅寝・早起き」に
睡眠時間を短くすると、深い睡眠が多くなります。
眠りが浅いときには「早寝・早起き」ではなく「遅寝⇒早起き」で睡眠時間を圧縮してみましょう。
5)睡眠中の激しいイビキ・呼吸停止や脚のピクつき・むずむず感は要注意
これらの症状は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)やむずむず脚症候群、周期性四肢運動障害などの病気が原因のことがあります。
6)睡眠薬代わりの「寝酒」は、不眠のもと
アルコールは寝つきを良くしてくれますが、深い睡眠が減るなどして全体としての睡眠の質を悪くします。
7)睡眠薬は医師の指示で正しく使う
睡眠薬は用法容量に従い、飲み方や止め方は必ず主治医の指示に従いましょう。
8)同じ時刻に毎日起床
目覚める時刻が一定だと、体内時計のリズムも上手く調整されます。
休日も平日の起床時刻+2~3時間までには起きましょう。
9)光の利用で良い睡眠
朝は太陽の強い光を浴びると、スッキリ目覚められます。
夜は暗めで暖色系の灯りが眠気を誘ってくれます。
寝室は暗い方がよく眠れます。
10)規則正しい3度の食事、規則的な運動習慣
朝ごはんは胃腸にある体内時計を起こしてくれます。
逆に夜食は体内時計のリズムを乱してしまうので、食べるなら軽めにしておきましょう。
11)昼寝をするなら、15時前の20~30分
14~16時にも眠気が強くなりますが、この午後の眠気に対しては、短い時間(20~30分)の昼寝が効果的です。
12)十分眠っても日中の眠気が強いときは、専門医に相談を
乗り物の運転中や大事な用事の最中に突然眠くなるような場合、早めの受診をしておきましょう。
(「不眠症の科学:坪田 聡(サイエンス・アイ新書)」より引用)
健康づくりのための睡眠指針2014
~睡眠12箇条~
1)良い睡眠で、からだもこころも健康に。
2)適度な運動、しっかり朝食、ねむりとめざめのメリハリを。
3)良い睡眠は、生活習慣病予防につながります。
4)睡眠による休養感は、こころの健康に重要です。
5)年齢や季節に応じて、ひるまの眠気で困らない程度の睡眠を。
6)良い睡眠のためには、環境づくりも重要です。
7)若年世代は夜更かし避けて、体内時計のリズムを保つ。
8)勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を。
9)熟年世代は朝晩メリハリ、ひるまに適度な運動で良い睡眠。
10)眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない。
11)いつもと違う睡眠には、要注意。
12)眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家に相談を。