お医者さんで不眠症の治療をしてもらう場合には、主に「認知行動療法」と「薬物療法」を中心に行われます。
ですが、どんな病気の場合にも治療が行われる前には、必ずヒアリング(問診)や検査が行われます。
それでは、このページでは一般に知られるヒアリングや検査の内容について簡単にご紹介しますね^^
ヒアリング(問診)
「不眠症は「主観的な」病気」でもお伝えしたとおり、不眠症というのは「主観的な」病気です。
そのため、診断の際には、あなた自身が現在感じている不眠の症状がとても重要な指標(判断の目安)となります。
なお、ヒアリングの際に質問される内容は例としては、以下のようなものです。(お医者さんによって異なる場合があるかもしれませんが)
- いつ頃から眠れなくなったのか?
- 眠るまでの時間はどれくらいかかるのか?
- 夜中に途中で目が覚めることはないか?
- 不眠以外にも他の症状はないか?
- 日中の眠気はどうか?
- ほかの病気にかかっていたり、現在服用中の薬はないか?
など、色々と質問がされた後、その症状が本当に不眠症なのか?治療が必要なのか?が判断されるので、受診の前にこれらを整理しておくと良いですね^^
また、自覚症状をチェックするためのセルフチェックシートについては、「今すぐできる不眠症セルフチェックシート」の「アテネ不眠尺度」がお役に立てると思います。
睡眠日誌
「睡眠日誌」とは、毎日の睡眠の情報を記録する表のようなものです。
「睡眠表」、「睡眠日記」とも呼ばれることもあり、お医者さんによってはこの睡眠日誌を付けるように指示をされる場合もあります。
この睡眠日誌によって、1日にとる総睡眠時間を出して、しっかりと睡眠時間がとれているのかが判断されますが、睡眠時間以外に以下の内容も記録していきます。
- 脱力発作や金縛りなどの症状
- 食事の時間
- 薬の服用状況や副作用
- その日の体調
など。
ポリソムノグラフィ(睡眠ポリグラフ)

上記画像はこちらより引用させていただきました。
上記のヒアリングで睡眠に問題があると判断がされた場合には、「ポリソムノグラフィ」という機械を使った「睡眠ポリグラフ検査」が行われます。
この機械は、睡眠中の脳波や心電図、筋肉や眼球運動などを一緒に記録するもので、この検査を受ける際には1泊の入院が必要です。
そして、この睡眠ポリグラフ検査を受けることによって、以下のような情報を知ることができます。
- 一晩の中で覚醒や睡眠がどのように変化していくのか?
- どれくらいの深い睡眠をとれているのか?
- その深い睡眠がどれくらいの時間をとれているのか?
など。
つまり、自分自身の睡眠のカタチを客観的に知ることができるのですね。
ちなみに、この睡眠のカタチのことを「睡眠構築」と呼びます。
また、ポリソムノグラフィで記録された睡眠のカタチをグラフ化したものを「睡眠図」と呼び、健康な人の場合であれば下記のようなカタチのグラフが描かれます。
この睡眠図については「「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」のサイクル」でもお話ししましたが、健康な人の場合、必ずノンレム睡眠から入り、ステージ1~4の順でだんだんと深くなっていきます。
いわゆる「脳が休んでいる状態」ですね。
そして、眠りに就いてから60~90分が経つとレム睡眠があらわれるのですが、これがいわゆる「夢を見ている状態」ですね。
このレム睡眠が数分~数十分続いた後、またノンレム睡眠のステージ1に戻り、これを一晩で4~5回繰り返して目が覚めます。
このサイクルのことを「睡眠サイクル」と呼び、サイクルの後半になるにつれて深いノンレム睡眠が少なくなります。
また、健康な成人の場合だと、ステージ3以上の深いノンレム睡眠は、最初の1~2回だけにしかあらわれず、逆にレム睡眠でいる状態が増えていきます。
このようにキレイなカタチをした睡眠が「健康な睡眠」です。
ですが、睡眠中に途中で目が覚めてしまったり(中途覚醒)、レム睡眠のあらわれるタイミングが早すぎたり、深い睡眠がとれていない(熟眠障害)などの問題がある場合には、不眠症と診断される可能性があります。
アクチグラフ
「アクチグラフ」とは、長時間の睡眠と覚醒のパターンを測るための機械です。
腕時計のように携帯性が高く、これを1~2週間着けて自分の行動量などを記録することによって、普段の行動パターンを知ることができます。
また、家庭用に「睡眠計」と呼ばれるものが売られていますが、これもアクチグラフの一つで、ネットなどでも気軽に購入することができます。
なお、スマホのアプリでもこれと似たような機能を持つアプリがあります。
しかし、これらのツールからわかる睡眠状態は、あくまでも目安でしかないので、正確な情報を知るためには上記でお話しした睡眠ポリグラフ検査が必要です。
血液検査
お医者さんによっては、血中のメラトニン量を測るために血液検査を行う場合もあります。
これは血中のメラトニン量を調べることによって、概日リズムを測る目安になるためです。
なお、この検査は入院が必要となり、約1時間ごとに採決をして24時間分の血液が測定されます。
まとめ
以上のとおり、今回は主に不眠症を受診した際に行われる検査について簡単に説明させていただきました。
次回のページでは、受診後に行われる治療法「認知行動療法」についてお話ししますね^^
それでは、今回の記事は以上となります。
最後までご購読いただきありがとうございました。