「「不眠症」とはどんな状態のこと?今すぐできるセルフチェックシート」では、不眠症の症状について基本的なことをザックリとお話ししましたが、様々なタイプの不眠症があります。
それでは、不眠症というのは実際にはどのようなタイプがあるのでしょう?
「睡眠障害国際分類(ICSD)」では、不眠症のタイプを以下のとおり9項目に分類しています。
1)適応障害性不眠症
2)精神性理性不眠症
3)逆説性不眠症
4)気分障害、感情障害
5)不安障害、パニック障害
6)心的外傷後ストレス障害(PTSD)
7)不適切な睡眠衛生
8)薬剤もしくは物質による不眠症
9)内科的疾患による不眠症
ただ、上記全てのタイプの症状を当記事に載せてしまうと、とんでもなく長い記事になってしまうので、今回は「1」~「3」、次回は「4」~「6」、最後に「7」~「9」の順番で、3回のシリーズに分けて解説していきますね^^
■睡眠障害国際分類(ICSD)とは?
睡眠障害国際分類(すいみんしょうがいこくさいぶんるい、英: International Classification of Sleep Disorders、略称 ICSD)は、アメリカ睡眠医学会(英語版)がヨーロッパ睡眠医学会、日本睡眠学会、ラテンアメリカ睡眠学会の協力により策定した睡眠障害の分類である。「睡眠および睡眠医学分野の臨床医・研究者のための一次的な診断学的疫学的な符号化資源」
※ウィキでは不眠症のタイプを11項目に分類していますが、当記事ではわかりやすくするために、9項目に分類させていただいています。
あなたが抱える「不眠」は一時的なもの?慢性的なもの?
「不眠症は「主観的な」病気」でもお話ししたとおり、不眠症というのは「主観的な」病気です。
本人が「眠れない」ことを強く訴えていて、肉体的・精神的に苦痛を感じ、日常生活に問題が発生していれば「不眠症」ということになってしまいます。
ですが、それが一時的なものであるのか、それとも長期に渡るものであるかによって、また見方が変わってくるため「眠れない=不眠症」であるとは限りません。
そのため、不眠症のタイプをご紹介する前に、一過性(一時的な)の不眠、急性的な不眠症、慢性的な不眠症について先にお話ししていきたいと思います。
なお、ここで言う「不眠」の基準については、「今すぐできる不眠症セルフチェックシート」で紹介した「アテネ不眠尺度」で「6点以上(不眠症の疑いがある)」だった場合を想定しています。
一過性不眠(一時的な不眠)
睡眠を取ることに問題があり、満足に眠れない期間が1週間以内の不眠の場合、「一過性不眠」と呼ばれます。
この状態では、一時的なものである可能性があるため、まだ「病気」とは言い切れません。
そのため、身の回りの睡眠環境を改善してみたり、不眠の原因となるストレスを上手に対応していけばまたいつものように眠れるようになります。
ですが、もしどうしても眠れないようであれば、薬局で売っている睡眠改善薬やネット通販などで売っているような不眠サプリを使ってみるのも解決策の一つです。
ただ、薬局で売っている睡眠改善薬を使っても値段が高い割には満足な効果は見られたことがありません。
そのため、私の場合は不眠対策サプリを使った方が高い満足感を得ることができています^^(もちろん商品によっては相性や個人差はあります)
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急性不眠症
不眠状態が1~3週間続く場合には、「急性不眠症」と呼ばれます。
※ここで初めて「不眠症」となるのですね。
また、急性不眠症では、不眠だけでなく、日中に下記のような症状があらわれるようになります。
- 倦怠感(けんたいかん)がある。
- 集中力、注意力、記憶力の低下。
- 社会的機能の低下。
- ヤル気が出ない、モチベーションが上がらない。
- 日中に強い眠気がある。
- 仕事中のミスが増える。
- 乗り物の運転中の事故のリスクが高くなる。
- 睡眠不足によって緊張や頭痛が生じたり、消化器官にも問題が生じる。
慢性不眠症
不眠状態がさらに3週間以上続くと、「慢性不眠症」と呼ばれるようになります。
それでは、これらを踏まえた上で、以下では不眠症のタイプを解説していきますね^^
タイプ1:適応障害性不眠症
仕事や家庭環境などに上手く適応することができず、それがストレスになって起こる睡眠障害がこの「適応障害性不眠症」です。
例えば、仕事や家庭内でのトラブル、周囲からのプレッシャー、悲しい出来事などによって、強いストレスを抱え込んでしまい眠れなくなる症状です。
現代社会を生きる私たちの身の回りには、上記以外にもそこら中にストレスの元となる場面が転がっています。
そのため、この病気に限らず、睡眠障害の原因の多くがストレスによるものだと言われています。
なお、ストレスによる体への影響は、不眠以外にも以下のようなものがあります。
- 高血圧
- 心臓病
- 頭痛
- 筋肉痛
- 胃腸疾患
- 免疫機能障害
など。
また、ストレスへの精神的な反応としては、不安や怒り、攻撃性、抑うつ、燃え尽きなどがあり、適応障害性不眠症にはこれらの症状がよく合併します。
タイプ2:精神生理性不眠症
「不眠」そのものを強く意識して、眠れないことに対して不安や恐怖心を覚えてしまう。
そして、それが原因で精神的に追い込まれて、慢性的に不眠になってしまうことを「精神生理性不眠症」と言います。
実は、不眠症を起こす病気の中でも、一番多いと言われているのがこの症状です。
人は精神的にストレスが高くなると、一時的に眠れなくなるときは誰にでもあります。(一過性不眠)
ですが、通常であれば不眠の原因となっているストレスが解消されれば、またいつものように眠れるようになります。
しかし、この病気の場合には睡眠に対するこだわりが必要以上に強い人が多く、「眠れない」ということ自体がストレスとなってしまいます。
さらに、「眠らなきゃ!!」という焦りの気持ちが余計に精神的に追い込んでしまいます。
そうなってくると、不眠に対して不安や恐怖感が生まれてしまい、それがまた新しいストレスになって慢性的な不眠を引き起こしてしまうのです。
つまり、「負」のスパイラルということになってしまうのですね。
この精神生理性不眠症に見られる睡眠障害の症状としては、寝付きが悪くなる「入眠障害」や、夜中に途中で目が覚めてしまう「中途覚醒」などがあります。
この場合、睡眠ポリグラフ検査をしたときには、自覚的な症状のとおり、ベッドに入ってから寝つくまでに時間がかかったり、浅いノンレム睡眠が増えて夜中に目を覚ますことが多く見られます。
この病気を発症するキッカケは、上記のようなストレスの他、引っ越しや転勤などによる環境の変化、体の病気、入院などがあります。
また、中高年の女性に多く、神経質な性格で完璧主義の人にも多く見られるようです。
タイプ3:逆説性不眠症
実際には十分に眠っているのに「ゼンゼン眠れない!」と強い不眠を訴え、検査をしてみても睡眠障害の証拠が見られない不眠症を「逆説性不眠症」と言います。
つまり、本人の訴えと検査の結果が「逆」ということですね。
本人は真剣な顔をしながら言っているので、決してウソを付いているツモリはありません。
ですが、先ほどお話しした「精神生理性不眠症」の人のように睡眠に強いこだわりを持っていたり、神経質ということではありません。
この症状でいる人の場合、大げさとも言えるくらいに「全く眠れない!!」、「一晩中起きていた!」と不眠を訴えることがあります。
しかし、睡眠ポリグラフでの検査では、入眠までの時間や総睡眠時間などは健康な人と同じです。
ただ、脳波テストで見た場合には、深い睡眠が減って通常とは違うパターンになっているため、全くの異常がないわけではないようです。
なお、逆説性不眠症の有病率は明らかにはなっていませんが、不眠を訴えて受診をされる人の内、この症状を訴える人は全体の5%以内と考えられています。
また、男女の比率は不明ですが、20~40代の女性に多いと推測されています。
まとめ
以上のとおり、今回は主にストレスが原因となって発症してしまう不眠症についてご紹介しました。
なお、「逆説性不眠症」については、私の手元にある資料では、原因の確認ができなかったため、ストレスとはまた別の問題がある可能性があります。
それでは、次回のページでは「不眠症との関連が強いココロの病気」についてお話ししますね^^
最後までご購読いただきありがとうございました。