実はひそかに増えてきている不眠症の症状の中に「むずむず脚症候群(RLS)」というものがあります。
別名「レストレスレッグス症候群」とも呼ばれており、あまり馴染みのない病名のため、初めて知る人も多いのではないかと思います。
それでは、この病気はどのような症状を引き起こすのでしょうか?
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「むずむず脚症候群」とは?
ケガや痒み(かゆみ)を生むような原因がないのに、ベッドに入って眠りかけた頃になると脚を中心に身体のどこかが「アリが這うような感じがして、むずむずして眠れない!」といったことが起こる。
こういった症状が起こるのが「むずむず脚症候群」の特徴です。
また、むずむず脚症候群は、夕方から夜にかけて特にベッドに入ってからが最も症状が出やすいため、不眠に悩まされる原因にもなります。
これは「むずむず」した感覚が気になってしまって不快感を感じ、それが原因で「エンジン(脳幹)の暴走=過覚醒」が起こるからだと考えられています。
そのため、もしあなたが普段から奥さんやご主人から「眠っているときによく脚を動かしているよ?」と指摘されている場合には、「むずむず脚症候群」である可能性があるので注意が必要です。
実は医者からの認知度も低い病気
最初にこの病気が記録されたのは、1672年のことでイギリスの医師であるウィリスという人が記録し、1945年にスウェーデンの精神内科医であるエクボンという人によって「Restless Legs Syndrome(=むずむず脚症候群)」と名付けられました。
上記のとおり、むずむず脚症候群は結構古くからある病気なのですが、実は医者からの認知度は低く、医者が受け持つ担当分野によっては知らない人も多くいるようです。
実際、日本での発症者は極端に少ないか、ほとんどいないとされていたときがあり、昔は疾患の知識が普及していませんでした。
そのため、病院に行っても「末梢神経の障害」や「坐骨神経病」などの別の病気として診断されていたようです。
むずむず脚症候群の認知度 | ||
知っているかどうか | Yes | No |
神経内科 | 86% | 14% |
精神科 | 64% | 36% |
内科 | 35% | 65% |
皮膚科 | 25% | 75% |
整形外科 | 22% | 78% |
(「不眠症の科学:坪田 聡(サイエンス・アイ新書)」より引用)
しかし、最近では、日本人の2~4%がむずむず脚症候群にかかっていると言われてます。
ただ、「2~4%」とは言っても、実は睡眠障害の中でも「精神性理性不眠症(ストレスによる不眠症)」や「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」に次いで有病率が高く、中年以降(特に女性)になると発症することが多い傾向にあります。
また、近年では、むずむず脚症候群がうつ病を引き起こす可能性があることが明らかになっており、他にはパニック障害を伴うことも多いとされています。
むずむず脚症候群と診断される4つの症状
それではどういった症状でいると、むずむず脚症候群と診断されるのでしょう??
一般的には、以下の症状になっていると、むずむず脚症候群と診断されます。
「異常感覚」があるせいで脚を動かしたくなる気持ちが強い
主にふくらはぎや足の甲、足の裏に痛みや不快感などの異常感覚が出る症状です。
「異常感覚」の表現のされ方は様々で、「アリのような小さい虫が這うような感じ」、「なんだか、むずむずする」、「かゆい」、「身体が火照る」などがあります。
睡眠中に落ち着きがなくて脚を動かす
睡眠中に脚に不快感があり、我慢ができないくらいの異常感覚によって、無意識に脚を動かしてしまう症状です。
脚を動かしたり、床にこすりつけたり、冷やしたりすると異常感覚が楽になるため、無意識に脚を動かしたりします。
睡眠中のリラックス状態でも異常感覚がある
横になっているときや座っているときなどの楽な体制でいるときに、脚を動かさないでいると不快感が出る症状です。
つまり、異常感覚は睡眠中以外のリラックスした状態でも襲ってくるということですね。
なお、この感覚は足を動かすと症状が軽くなります。
夕方から夜にかけて不快感がひどくなり睡眠の邪魔をする
2つ目の症状と少し似ていますが、睡眠中に起こる「むずむず」によって目が覚めて、それ以降眠れなくなってしまう症状です。
そのため、熟睡することができないので、日中に眠気を引き起こします。
なお、冒頭でも少し触れましたが、むずむず脚症候群は夕方から夜にかけて症状がひどくなり、特にベッドに入ってからが最も症状があらわれてきます。
発症のメカニズムはまだわかっていない
上記でもお話ししましたとおり、むずむず脚症候群は結構古くからある病気なのですが、実は原因や発症のメカニズムはまだよくわかっていません。(記事掲載時)
ただ、鉄欠乏性の貧血や、人口透析(じんこう とうせき)に伴って発病することが多く、脳内の鉄不足が原因という説もあります。
これは鉄分が不足することによって、脳内でのドーパミンという神経伝達物質の合成が正しくできなくなってしまうことから、むずむず脚症候群になってしまうと考えられています。
なお、ドーパミンは運動を正しく機能させる役割を持っており、腕や脚の感覚とも関係しているため、ドーパミンの合成が正しくされていないと、むずむず脚症候群になるのではないかと考えられています。
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まとめ
以上のとおり、むずむず脚症候群というのは、寝ているときの「むずむず感」が気になって睡眠の妨げになってしまう病気です。
また、むずむず脚症候群を患っている人の6~8割は「周期性四股運動障害(しゅうきせい しし うんどうしょうがい)」という睡眠障害を合併していると言われています。
さらに、腎不全、心不全、関節リウマチ、パーキンソン病の人も、むずむず脚症候群を起こしやすいと考えられています。
ちなみに、「周期性四股運動障害」は、眠っている間に何かを蹴るような動きをする睡眠障害の一つですが、詳細については、次のページでお話ししますね^^
それでは、今回の記事は以上となります。
最後までご購読いただきありがとうございました。