寝息を立てて「スヤスヤ」と眠っている赤ちゃんの顔を見ると、思い浮かぶ言葉と言えば、「寝る子は育つ」ですよね^^
この言葉って昔からの言い伝えで、ず~っと前から使われているみたいなのですが、実際、なにを根拠として使われていたのでしょうか?
現代のように脳科学がすすんでいなかった時代から使われ続けていたと思うので、少なくとも科学的な根拠を持って伝わっているわけではないことは確かですよね。
私個人の考えとしては、昔の人は「よく寝ている子を見続けた結果、大人になったらとても立派な人になった」ため、「寝る子は育つ」と言われるようになったと勝手に思っています。
ですが、調べてみると実は科学的にも根拠のある言葉だったんですね。
科学的にも証明された「寝る子は育つ」
冒頭でもお話ししたとおり、科学的にも証明されている「寝る子は育つ」。
とは言っても、「寝る子は育つ」の科学的な根拠がどこにあるのかなんて、普通に考えたらわからないですよね。
それでは、実際には何を根拠としているのでしょうか?
まず前提として、人は眠りに就いて最初の睡眠サイクルの中で深いノンレム睡眠に入ると、脳内の「下垂体(かすいたい)」というところから「成長ホルモン」が大量に分泌されます。
そして、子供の頃はこの成長ホルモンのシャワーを浴びることで、脳や体が成長していくのです。
このホルモンは、文字通り「成長させるためのホルモン」ですね。
実はこの成長ホルモンは、子供の頃だけではなく、成長期を過ぎた大人になってからも分泌がされています。(分泌される量は成長期に比べて減りますが)
これは、成長ホルモンが「成長させること」だけが目的ではなく、日中に傷付いた細胞のメンテナンスには欠かせないホルモンで、肌の調子を整える役割も果たしているためです。
つまり、十分な睡眠時間が取れないことはお肌にとっても「NG」になるわけですね。
また、睡眠不足になると成長ホルモンの分泌が減ってしまいます。
そうなると脳の発達が遅れるだけでなく、気持ちを落ち着かせるための「セロトニン」という脳内物質が足りなくなったり、脳の働きが悪くなったりしてしまいます。
その結果、「うつ病」、「キレやすい」、「攻撃的」になってしまう原因にもなるのです。
これらのことから「睡眠=成長ホルモンの分泌=“寝る子は育つ”」に繋がっていくため、科学的にも「寝る子は育つ」は正しいと結論付けられているのですね。
試験前は十分な睡眠を取ることが大事
特に学生の時期に多いと思うのですが、試験前になると本番が近付くにつれて、睡眠時間を削ってまで勉強を頑張っていたことは誰もが一度は経験してきていると思います。
寝ないで頑張る理由としては、「寝るとせっかく覚えたことを忘れてしまいそう」だったり、「寝ている時間がもったいない」だったり、他にも色々な理由があるとは思います。
実際、私も上記のような理由で睡眠時間を削りながら、学校の試験や免許・資格を取るための勉強をしていたこともあったので気持ちはよく分かります。
ですが、睡眠時間を削ってまで試験にのぞむことは、実は間違いであることが明らかになっています。
理由は簡単で、これまで何度かお伝えしてきているとおり、睡眠を取ることによって、脳のメンテナンスとともに学習した記憶を強化することができるからです。
そして、レム睡眠を取り除いたら学習した成績が落ちてしまったこと、ノンレム睡眠を取ることによって重要な記憶を脳に根付かせることもすでに明らかになっています。
そのため、睡眠時間を削ってまで勉強をするよりも、十分な睡眠時間を取りながら勉強をした方が、脳にも体にも優しい試験対策となるのです。
明日のパフォーマンスは今夜の睡眠次第!
あなたは過去にこんな経験はありませんか?
スポーツや楽器、ゲームの練習をしていて、同じことを何度も何度も繰り返しているのに、その日はどうしても上手になれない……。
仕方なくその日は諦めてしばらくの間、何もせずにいたら数日後には、それまで全くできなかったことが急にできるようになった!
しかも、何もしていなかったどころか、思い出すことさえしなかったのに!!
私もこのようなことはよくあるのですが、なんでこんなことが起こるのか、とても不思議だと思いませんか?
なぜかって?
「練習を諦めてから、できるようになるまでに何もしてなかったのに」ですよ?
実はこれにも睡眠が深く関わっていることが明らかになっており、過去にはこんなテストがされています。
被験者にとあるゲームをさせるため、参加者を以下の2つのチームに分けて、どちらの成績が良くなるのか?という、いわゆる「A/Bテスト」ですね。
- Aチーム:ゲーム後に睡眠を取る。
- Bチーム:ゲーム後は睡眠を取らない。
ちなみに、このテストに使われたゲームは参加者全員が未経験で、当然のことながら最初は誰も上手にはできません。
しかし、同じゲームを何度も繰り返す内に、両チームの参加者はコツをつかみはじめて少しずつ上手になっていきます。
と、ここまでは普通ですが、大事なのはここからです。
ゲーム後、Aチームには十分な睡眠を取らせ、Bチームは起きたままにさせ、翌日また同じゲームをさせます。
その結果、Bチームは成績が上がらなかったのに対して、Aチームの成績は睡眠を取ることによって飛躍的に上がったという効果があらわれました。
このテストで注目したいのが、十分な睡眠を取ることによって、Aチームのレベルが「維持」されるだけでなく「向上」したことです。
これと似たような研究は他にも沢山行われています。
そして、多くのテストでは上記と同様「最初は上手にできないけれど、同じことを繰り返すことで、だんだん上手になっていき、睡眠を取ることで更に上手になっていく」ことが確認されています。
まとめ
上記のとおり、睡眠は「記憶を『維持・強化』させるだけではなく、パフォーマンスを『向上』させる」ためにも、重要な役割を持っているということです。
そのため、いくら頑張って練習しても上手くできないときは「思い切って全部投げ出して、その日は早めに寝る」ことが、成功のカギにもなるかもしれないですね^^
それでは、今回の記事は以上となりますが、次回のページでは「体内時計25時間」説の真実についてお話ししますね。
最後までご購読いただきありがとうございました。